妊娠中のこと 8
次の診察の時、羊水検査を担当してくださった先生から、改めて説明を聞きました。
検査結果として渡されたのは、生物の教科書で見たことのある、2対の染色体異常46本の写真。
あと、「軽微なモザイク型も含めて、染色体異常が見つからなかった」という旨の文書も同封されていました。
性別は男の子。
先生は、恐る恐る
「人工妊娠中絶についてですが、中絶できるのは21週6日までです。もし中絶されるのでしたら、病院側の準備もあるので、早急に決めなくちゃいけません。どうしますか?」
と聞いてきました。
私は「産みます!」と、はっきり答えました。
先生が、明らかにホッとしたのがわかりました。
その後、こないだの電話と同じように、先生から今回わからなかった染色体異常である可能性があること、他の病気かもしれないこと、出産に至らないかもしれないことを聞きました。
私は
「検査結果で何も異常が出ていないのに、お腹の赤ちゃんを堕ろすことはできません。
産んだ後に病気があるかもしれないのは、どの赤ちゃんも同じはずです。
もし健康に産まれても、自閉症はある程度の年齢にならないと判らないと聞いていますし、成長してから病気になったり、事故で身体が不自由になる可能性だってある。
言い出したらきりがないと思います。」
とお伝えしました。
言い終わった後、先生の顔を見ると、ニコニコしていました。
「そうですね。産まれたら、きっと可愛いと思います」
私の気持ちは、もう出産に向けて動いていました。